私の AI ツール月額予算の中身を、削った 1 本とセットで公開する
「AI ツール、月いくら使ってるんですか?」と、最近よく聞かれます。
具体額を全部出したい気持ちはあるんですが、各サービスの料金は変動しますし、私のプラン構成が読者の最適解とは限らない。だからこの記事では、金額そのものより「何を選んで、何を削ったか」の構造を出します。読者に持ち帰ってもらいたいのは、私の月額の写しではなく、自分の月額を組み直すときの設計フレームです。
月額予算の前提:合計の上限を先に決める
具体ツールに入る前に、絶対に先にやるべきことがあります。
AI ツール群の合計上限を、ひと月いくらにするか先に決める。これだけ。
なぜかというと、AI ツールは個別に「月◯円なら払えそう」で判断していくと、3 個・4 個と積みあがった時に合計が見えなくなるからです。1 個ずつ「これくらいなら」を繰り返した結果、気づいたら月◯万円、というのは SaaS あるあるです。
私の場合、最初に「AI ツールの月額合計は、収益から見て無理のない範囲に収める」と決めました。具体額は事業フェーズで変動しますが、上限が決まっていることが、新ツールの誘惑に対する一番のブレーキになっています。
私の AI ツール構成(カテゴリ別)
私の月額は、ざっくり 3 つのカテゴリで構成されています。
カテゴリ A:思考と作業の中核ツール
日常の判断・文章作成・コード書きの中核を担う AI。私の場合は Claude Code(Anthropic のコマンドライン版 AI アシスタント)の有料プラン。ここは絶対に削れない部分で、月額の上限の半分強を占めています。
カテゴリ B:補助ツール
コード補完エディタの Cursor、画像生成系、文字起こし支援。Cursor は Hobby Free(無料プラン)に絞って運用しています。Pro プランへの移行は、Free で詰まりが出てから検討する順番で、急いで上げない。
カテゴリ C:実験枠
新しく出てきた AI ツールを 1 ヶ月だけ試す枠。最初から「合わなければ次月で抜ける」前提なので、月額契約のものしか入れません。年契約縛りがあるツールは、ここからは除外します。
3 カテゴリの構成にすることで、「中核は厚く、補助は薄く、実験は短く」の優先順位が崩れない。1 カテゴリで月額を膨らませそうになったら、別カテゴリを削る判断ができます。
削った 1 本:Aqua Voice の話
実験枠で入れて、撤退したツールが直近 1 つあります。Aqua Voice(音声入力ツール)。
入れた目的は、議事録や長文の下書きを音声で起こして、タイピング時間を削減すること。1 ヶ月使って、月額分の作業時間が浮いていないと判断して、即撤退しました。
撤退理由は 2 つ。
1. ショートカットの不具合:他のアプリと競合して、想定通りに起動しない場面が頻発
2. 誤認識率が許容範囲を超えた:固有名詞が高頻度で誤認識され、修正時間が削減時間を上回った
合わないと分かった時点で、惰性で次月も使うのは時間とお金の二重消費です。月単位契約だったので、判断したその月の末で抜けました。
これが「撤退条件を入る前に決める」の効きどころです。「1 ヶ月で◯◯時間の削減が出なければ撤退」と先に置いていたから、判断が機械的にできた。決めていなければ、「もう少し使えば慣れるかも」を半年繰り返して、気づいたら 6 ヶ月分の月額が消えていたと思います。
増やすより、入れ替える発想
月額予算を運用していて気づいたのは、「合計を増やす」発想より「中身を入れ替える」発想の方が、事業に効くということ。
新しい AI が次々に出てきます。気になるツールも、毎週のように見つかる。でも、追加するたびに合計が膨らむ運用は、半年で破綻します。
代わりに、新ツールを試したい時は 「今ある何を一旦止めて、空けた枠で試すか」を考える。これは家計簿的な節約論ではなく、注意の総量にも限界があるからです。5 つの AI ツールを使いこなすのは、3 つを使いこなすより圧倒的に難しい。
カテゴリ C(実験枠)の存在は、この「入れ替え」を機能させるための仕組みです。ここの枠が満員なら、新ツールを試すには既存の C を 1 つ抜くしかない。枠の有限性が、判断の質を保ってくれる。
自分の AI ツール月額を、1 枚のメモに書く
明日からできることを 1 つ挙げるなら、自分が今払っている AI ツールの月額を、1 枚のメモに書き出すこと。
ツール名/月額/カテゴリ(中核 / 補助 / 実験)/撤退条件(1 行で)。これだけです。
書き出すと、たいてい「あれ、これ最近使ってないな」というツールが 1〜2 個見つかります。書くまで気づかないのが、SaaS の怖いところです。レンタル DVD 屋全盛期の「返却を忘れた DVD」と同じで、見えないうちに静かに料金が積み上がっていく。
このメモは、来月の予算を組む時の起点にもなります。今月の合計と、来月の予算の差分が見えれば、追加するか入れ替えるかの判断が速くなる。1 枚のメモで、AI ツール選定の主導権が自分の手に戻ってきます。
商品が必要な方には、いつでも商品ページから相談に来てもらえれば。
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それでは、また。
荒居 憧哉(PlayWorker 代表)